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by karopiyo
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「動物園の鳥」

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ひきこもり探偵シリーズも遂に完結。
表紙は、鳥が籠から飛び出す絵。
いよいよ、羽ばたきの時。
探偵ものと言いつつ、内面を重視した話でした。

■帯の言葉
一度傷ついた翼を再び広げる勇気。
その姿の美しさを
僕は誰よりも知っているのだから

■坂木司「動物園の鳥」
創元推理文庫



・「何か悪いことをしようとしたとき、こんなことをしたら天罰が下る、とか
地獄に落ちる、なんて考えが浮かばない人間は、
心の中に神様どころか、誰も住んでいないのさ。
別に宗教じゃなくてもいい。
そいつの前でこれができるか、これをしても自分はそいつの目を見られるか、
そういう相手を心の中に持っていれば、最低限の道徳は身につくはずだ」

・「どうしてそんなに心が自由なの?
人に嫌われることを、恐れてないみたい」
「嫌われてもいいわ。
だって、好きじゃない人に嫌われても私、へっちゃらだもの。
あ、でも道徳的なことは守ってるつもりよ?
全部の人に好かれようなんて、どだい無理な話よ。
誰とも摩擦を起こさない聖人君子なんているわけないもの。
だから私、好きな人に好かれるための努力はするけど、
そうじゃない人から嫌われるのはちっとも気にしない。
ただ、相手の言うことには耳を傾けるようにしてる。
もしかしたら、相手が言ってることが合ってるかもしれないし」
「でも、嫌われるってことは誰かを不快にしてるってことでしょ?
それって迷惑をかけてるってことなんじゃないの?」
「迷惑?それを迷惑だと思うんなら、誰とも接触せずに田舎にいた方がいいわ。
他人とぶつかって、意見が食い違って、それから理解しようと手を伸ばす。
これがコミュニケーションってやつじゃないの?」

・誰を思い、誰かに思われる。
そんな美しい円を僕も描くことができたら。
そう思うんだ。

・大人になったら、強くなるんだと思ってた。
大人になったら、もう今みたいに泣かないんだと思ってた。
寂しくて、誰かにかまって欲しくて、
一人部屋の中で涙を流すことがあるなんて、もう絶対にないんだと、
そう、思ってた。

・僕らは普段、まるで動物園に暮らす動物たちのように、
それぞれの常識、それぞれの考え方という檻の中に入っている。
だから言葉も届きにくいし、顔も見えにくい。
でも、そんな僕たちの上を野生の鳥がかすめてゆくことがある。
それは、自由と不安を司る存在。
どう、たまには飼育係の人と散歩でもしてみたら?そんな囁きが聞こえてくる。
その声に応えて、僕は僕自身を檻の外に出して日差しを浴びさせてやる。
それは心のストレッチ。
僕の飼育係は僕だけなのだから、きちんと世話をしてやらないといけない。
そしてほんの少しでも外に出た僕らは、顔をあわせることがあるかもしれない。
もし、言葉が通じなくてもそれはそれでいい。
いつかはわかりあえるかもしれないというほのかな思いを抱いて、
また僕は自分の檻に帰る。
手をのばし続けること。誰かと関わり続けること。
それが、それこそが生きているということなのだろうから。
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by karopiyo | 2006-11-27 01:20 | 漫画/小説/雑誌